古い時代の餌猪口です。本来は小鳥の餌入れとして作られたものですが、古手の味のあるものは酒器に見立てて使われたりします。この猪口は土岐市美濃陶磁歴史館に収蔵品の、桜ヶ根窯跡から出土した「御深井釉餌猪口」と同手で、製作時期は18世紀まで遡る可能性があります。土岐市美濃陶磁歴史館の収蔵品は欠損がありますが、この品は伝世品で大きな欠点もなく、貴重なものと思います。薄緑の釉薬が美しく、小さな把手が可愛らしい器です。製作当時は雑器であり、手間を省くためにろくろによらず、木型や素焼き型による型込めによって成形されていることも特徴です。口部分に微細な欠け、釉薬の損耗はありますが、大きな欠損ははなく、弾くと澄んだ音がして、漏れもありません。口径は約6センチ、高さは3.2センチです。出品にあたり、酒器として使用することを想定して落とせる汚れは徹底して落としています。時代がつくといいますが、落ちる汚れは「時代」とは考えておりませんので、本体に影響の出ない範囲で洗浄、消毒を行なっています。現状目立つシミなどもありませんので、酒器として使い続けることで器が育ってゆくのをお楽しみいただけると思います。少々高価ですが、どうぞよろしくお願いします。